彗星とはテイル(尾)を生じる太陽系の小天体の事
世間的に一番有名な彗星といえばハレー彗星が挙げられると思いますが、次に地球の周りにやってくるのは、2061年と予測されています。
ではこのハレー彗星の名前はどうやって、どのような経緯で付けられたのか、そしてその名前はどのようなルールで付けられるのかご存知ですか。
まず彗星とは、ほうきぼしとも呼ばれますが、氷やチリなどで形成され、太陽に近づいて一時的な大気であるコマと呼ばれる気体や、コマが流出したテイル(尾)を生じる太陽系の小天体の事を指します。
太陽系小天体は小惑星と彗星がありますが、違いは形態的な特徴であるコマや尾の有無で決められます。よって、遠くにあるうちはコマや尾を観測できないので、小惑星との区別を付ける事は出来ません。
彗星によって、地球にやってくる周期は異なり、例えばハレー彗星は76年周期でやってくるとされています。前回は1986年にやってきたので、メディアなどで騒がれた記憶がある方もいると思います。この名前の由来は既に発見されていた星の周期を予言したエドモンド・ハレーの名前から付けられています。
1531年、1607年、1682年に現れた事に対し、1705年にハレーは1758年に戻ってくると予言しました。残念なことにハレーは自分の予言した1758年を迎える前に亡くなったのですが、実際に予言通りに戻ってきました。この実績を賞賛し、これをハレー彗星と名づけるようになりました。
20世紀初頭からは彗星の発見者の名前を付ける習慣が一般的に
彗星の名前は発見者の名前を付けるというイメージがありますが、その歴史には異なる習慣がいくつかありました。20世紀初頭までは特に明確な習慣が無かったので、エンケ彗星も発見者ではなく、軌道計算を行った天文学者の名前が付けられました。
また、「3月の大彗星」という名付けられ方もされたものもあります。これだと区別がつかないので、「1811年の~」というように呼ばれる事もあります。
20世紀初頭からは発見者の名前を付ける習慣が一般的になりました。この習慣は現代まで継続しており、発見者の名前が先着順で3名まで名付けられます。
1990年代以降は人工衛星や国際規模のプロジェクトチームが発見が相次ぐようになり、この場合は人工衛星名やチーム名が付けられるようになりました。同じ発見者が複数発見しても名前は区別されないため、人工衛星のSOHOが発見したSOHO彗星は現時点で1000を超えるそうです。
例えば彗星に自分の名前が付いたら素敵だと思いますが、その際は残り2名(チーム)の名前が連名になってしまうようです。約百年続く伝統、習慣ですからしかたないことですが、彗星の名前が自分ひとりだけだともっと嬉しいと思ってしまうのは欲張りすぎでしょうか。